1 就業規則・諸規定作成、改定
勤務時間中に従業員がそれぞれ好き勝手に行動したり、無断欠勤を繰り返したりしては、職場の秩序も乱れ、円滑な事業の運営はできなくなります。また、従業員も働く条件などが不明だと安心して働くことができません。
就業規則及び諸規定は、従業員が会社で働く上で守るべきルールを定めたものです。
法律上は、常時働く従業員の数が10人以上の会社では、作成届出が義務付けられています。
しかし、会社組織を円滑に運営し、無用なトラブルから会社を未然に守るためにも従業員の数にかかわらず、1人でも雇用していれば就業規則の作成をおすすめします。
近年増加傾向にある未払い残業代や解雇に関するトラブルだけでなく、有給休暇の消化の問題や休職制度など、その他の労働条件や職場環境についてもしっかりと定めておくことが必要です。
また、すでに就業規則を作成済みの会社でも、法改正に対応した形になっているのか、御社の実情にしっかりと則った形になっているのかを定期的にチェックしなければ、せっかくの就業規則が充分に機能しません。
必要に応じて、随時見直しをされることをおすすめします。
中には、就業規則自体の重要性をご理解いただけていない経営者の方もいらっしゃいますが、適切な労務管理をし、会社を守るためにも、そして優秀な従業員を確保・定着させ、働きやすい職場を作り、会社の成長・発展に寄与するためにも就業規則の整備は欠かせないものとなっています。
当事務所では・・・
数回のヒアリングののち、御社の実情に合った就業規則を作成し、労働基準監督署への届出までをお手伝いします。
また、必要に応じて、就業規則の診断・メンテナンスもお受けし、法令等に適切に対応した就業規則を作成します。
2 各種助成金の申請
助成金とは、会社が毎年納入している雇用保険料の一部を財源として、受給することのできる返済不要のお金です。
一言で助成金といっても、助成金の数・種類は非常に多く、条件に該当する助成金があるのか・ないのか、あるとすればどの助成金を活用することができるのかを見極めるのは大変困難となっています。
申請の方法も、手続きの複雑さや添付書類の多さから非常に面倒なものとなっています。
また、助成金を申請するためには、添付書類として出勤簿・賃金台帳・就業規則等の提出を求められることも多く、最低限の労務管理の整備は必要になります。
以下は、おもな助成金の概略です。そのほか助成金は数十種類ありますので、各種助成金についてはお気軽にお問い合わせください。
地域再生中小企業創業助成金
地域再生事業※を行う法人を設立又は個人事業を開業し、一定の要件に基づき労働者を2人以上雇い入れた場合、創業にかかる経費の一部及び雇い入れの人数に応じて支給。
※地域再生事業(鹿児島県)飲食料品小売業、飲食店、社会保険・社会福祉・介護事業
①創業支援金
法人等の設立等の日から起算して6ヶ月以内に要し、かつ6ヶ月以内に支払った対象経費の合計額の1/2を支給。
対象労働者5人以上雇い入れた場合 上限額500万円
対象労働者5人未満雇い入れた場合 上限額300万円
②雇入れ奨励金
対象労働者1人につき60万円(上限100人)
受給資格者創業支援助成金
雇用保険の受給資格者である失業中の方自らが、あらかじめ労働局に届け出た上で創業し、創業後1年以内に労働者を雇い入れて雇用保険の適用事業主となった場合に、創業に要した費用の一部を支給。
【助成額】
法人等の設立・運営に要した費用の1/3(上限額150万円)
ただし、法人等設立後1年以内に2人以上労働者を一般被保険者として雇い入れた場合は、50万円の上乗せ。
地域雇用開発助成金(地域求職者雇用奨励金)
雇用機会が特に不足している地域等において、300万円以上の事業所の設置・整備あるいは創業に伴い、当該地域に居住する求職者等を3人(創業については2人)以上雇い入れた場合、雇い入れた労働者の数及び設置・整備に要した費用に応じて、下表に掲げる額を1年ごとに3回支給。
設置・整備に 要した費用 |
対象労働者の数 | |||
---|---|---|---|---|
3(2)~4人 | 5~9人 | 10~19人 | 20人以上 | |
300万円以上 1,000万円未満 |
40万円 | 65万円 | 90万円 | 120万円 |
1,000万円以上 5,000万円未満 |
180万円 | 300万円 | 420万円 | 540万円 |
5,000万円以上 | 300万円 | 500万円 | 700万円 | 900万円 |
※( )内は創業の場合
雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金
景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練等により、労働者の雇用の維持を図る場合、その賃金等の一部を助成。労働者を解雇等していない場合は、助成率が上乗せされます。
【助成率】解雇等を行わない場合 | 教育訓練を行った場合の加算額 | ||
---|---|---|---|
大企業 | 2/3 | 3/4 | 事業所内訓練 2,000円 事業所外訓練 4,000円 |
中小企業 | 4/5 | 9/10 | 事業所内訓練 3,000円 事業所外訓練 6,000円 |
定年引上げ等奨励金(中小企業定年引上げ等奨励金)
65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、70歳以上までの継続雇用制度の導入を行う中小企業事業主に対して奨励金を支給。また、同時に高年齢者の勤務時間を多様化する制度を導入する場合は、支給額が加算。
事業主が実施した措置及び企業規模に応じて、下表に掲げる額が支給されます。
企業規模(人) | 事業主が実施した措置および支給金額(万円) | ||
---|---|---|---|
(a)定年の引上げ(65歳以上70歳未満) | (b)定年の引上げ(70歳以上)、定年の定めの廃止又は希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入 | (c)希望者全員を対象とする65歳以上70歳未満までの継続雇用制度と同時に労使協定に基づく基準該当者を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入 | |
1~9 | 40 | 40 | 20 |
10~99 | 60 | 80 | 40 |
100~300 | 80 | 120 | 60 |
高年齢者の勤務時間を多様化する制度を導入する事業主に対する加算額 一律20万円
定年引上げ等奨励金(中小企業定年引上げ等奨励金)
希望者全員が65歳まで働ける制度や70歳まで働ける制度の導入にあわせて、高年齢者の職域の拡大や雇用管理制度の構築に取り組み、高年齢者がいきいきと働ける職場の整備を行う事業主に対して、職域拡大等計画の実施期間内に要した対象経費(人件費等を除く)の3分の1に相当する額を、500万円を限度として支給。
定年引上げ等奨励金(高年齢者労働移動受入企業助成金)
定年を控えた高年齢者で、その知識や経験を活かすことができる他の企業への雇用を希望する者を、職業紹介事業者の紹介により、失業を経ることなく雇い入れる事業主に対して、雇入れ1人につき70万円(短時間労働者40万円)を支給。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)
高年齢者、障害者、母子家庭の母等の就職が特に困難な方を、ハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れた場合、下表に掲げる額を支給。
【短時間労働者以外】
対象者 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期(6か月)ごとの支給額 |
---|---|---|---|
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 | 50(90)万円 | 1年 | 第1期25(45)万円 第2期25(45)万円 |
身体・知的障害者 | 50(135)万円 | 1年(1年6か月) | 第1期25(45)万円 第2期25(45)万円 第3期 (45)万円 |
重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者 | 100(240)万円 | 1年6か月(2年) | 第1期33(60)万円 第2期33(60)万円 第3期34(60)万円 第4期 (60)万円 |
【短時間労働者】
対象者 | 支給額 | 助成対象期間 | 支給対象期(6か月)ごとの支給額 |
---|---|---|---|
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 | 30(60)万円 | 1年 | 第1期15(30)万円 第2期15(30)万円 |
障害者 | 30(90)万円 | 1年(1年6か月) | 第1期15(30)万円 第2期15(30)万円 第3期 (30)万円 |
- ( )は中小企業事業主に対する支給額
- 短時間労働者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者を指します。
- 対象者は、雇い入れ日現在の満年齢が65歳未満の者に限ります。
特定求職者雇用開発助成金(高年齢者雇用開発特別奨励金)
雇い入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワーク等の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れた場合、下表に掲げる額を支給。
1週間の所定労働時間 | 支給額 | 支給対象期(6か月)ごとの支給額 |
---|---|---|
30時間以上 | 50(90)万円 | 第1期25(45)万円 |
20時間以上30時間未満 | 30(60)万円 | 第1期15(30)万円 |
- ( )は中小企業事業主に対する支給額
派遣労働者雇用安定化特別奨励金
6か月を超える期間継続して労働者派遣を受け入れていた業務に、派遣労働者を無期または6か月以上の有期で直接雇い入れた場合、奨励金を支給。
期間の定めのない労働契約の場合 | 6か月以上の期間の定めのある労働契約の場合 | |||||
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大企業 | 計50万円 | 6か月 経過後 |
25万円 | 計25万円 | 6か月 経過後 |
15万円 |
1年6か月 |
12万5千円 | 1年6か月 |
5万円 | |||
2年6か月 |
12万5千円 | 2年6か月 |
5万円 | |||
中小企業 | 計100万円 | 6か月 経過後 |
50万円 | 計50万円 | 6か月 経過後 |
30万円 |
1年6か月 経過後 |
25万円 | 1年6か月 |
10万円 | |||
2年6か月 経過後 |
25万円 | 2年6か月 |
10万円 |
試行雇用奨励金(トライアル雇用奨励金)
次の①~⑦の求職者を、ハローワーク等の紹介により、一定期間雇用した場合、対象労働者1人につき、月額40,000万円(最大3ヵ月間)を支給。
①45歳以上の中高年齢者
②40歳未満の若年者等
③母子家庭の母等
④季節労働者
⑤中国残留邦人等永住帰国者
⑥障害者
⑦日雇労働者・住居喪失不安定就労者・ホームレス
均衡待遇・正社員化推進奨励金(正社員転換制度)
就業規則または労働協約に、パートタイム労働者又は有期契約労働者から正社員への転換のための試験制度を新たに定め、制度導入後2年間のうちに1人以上転換させた場合に、10人目まで奨励金を支給。
①正社員転換制度を導入し、実際に対象者が生じた事業主(対象者1人目)一事業主につき中小企業40万円、大企業30万円
②正社員転換制度を導入し、対象者が2人以上生じた事業主(対象者2~10人目)対象者1人につき中小企業20万円、大企業15万円
(母子家庭の母等の場合は中小企業30万円、大企業25万円)
均衡待遇・正社員化推進奨励金(短時間正社員制度)
就業規則または労働協約に短時間正社員制度を新たに定め、制度導入後5年間のうちに連続する3ヵ月以上の期間この制度を利用した労働者が生じた場合に、10人目まで奨励金を支給。
①短時間正社員制度を導入し、実際に対象者が生じた事業主(対象者1人目)一事業主につき中小規模事業主40万円、大規模事業主30万円
②短時間正社員制度を導入し、対象者が2人以上生じた事業主(対象者2~10人目)対象者1人につき中小規模事業主20万円、大規模事業主15万円
(母子家庭の母等の場合は中小規模事業主30万円、大規模事業主25万円)
両立支援助成金(子育て期短時間勤務支援助成金)
少なくとも小学校就学の始期に達するまでの子(小規模事業主においては、少なくとも3歳に達するまでの子)を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を労働協約又は就業規則に規定し、労働者がこれらの制度を連続して6か月以上利用した場合に事業主に対して助成金を支給。
①制度利用労働者が最初に生じた場合 | 小規模事業主 | 70万円 |
---|---|---|
中規模事業主 | 50万円 | |
大規模事業主 | 40万円 | |
②2人目以降の制度利用労働者が生じた場合 | 小規模事業主 | 50万円 |
中規模事業主 | 40万円 | |
大規模事業主 | 10万円 |
当事務所では・・・
最新の助成金情報を適宜お届けするとともに、御社の実情に合った有効活用できる助成金を提案し、申請書類の作成から各行政官庁への提出までを行います。
3 労働・社会保険手続き代行、相談
労働・社会保険に関する手続きは、数十種類と多種多様にわたり、しかも1つの手続きに複数の書類や添付書類が必要になる事もあり、非常に面倒です。
このような手続きを、書類の書き方から調べ、各行政機関に提出する作業は大変な時間と手間がかかります。
書類の不備や記載漏れなどで返戻・再提出となり、2度手間・3度手間となることも珍しくありません。
中には、スピードが要求される書類もあり、遅れると各種給付を受けることができなかったり、健康保険証・離職票などの発行が遅れたりと不利益を被ることもあります。
(手続き例)
雇用保険や社会保険の被保険者資格取得・喪失の手続き
健康保険の被扶養者に関する手続き
健康保険の給付に関する手続き(出産手当金、傷病手当金ほか)
労災保険に関する手続き
労働保険の年度更新手続き
社会保険の算定基礎届手続き
会社の名称・住所変更、代表者変更に関する手続き
など他多数
当事務所では・・・
手続きを迅速にそして正確に処理することで、経営者・事務担当者の負担を軽減いたします。
また、依頼を受けた手続きについての完了状況を逐次お知らせします。
4 給与・賞与計算委託、相談
給与計算は、会社にとって毎月必ず発生する重要な業務の一つです。
しかし、自社で給与計算をしているところでは、誤って計算しているところや法律に則っていない形で計算しているところが散見されます。
例えば、「保険料率改定後も前の料率で社会保険料を控除している」「割増賃金計算時に基本給だけを計算基礎としている」「最低賃金を下回る金額を支給している」などです。
誤って計算している原因は、給与計算業務には、労働基準法や労働保険・社会保険の深い知識が必要となるがその知識が不足しているということにあります。
また、給与計算業務は、計算とそのチェック作業に多くの時間を費やしてしまうこともあり、そういった作業をアウトソーシングすることにより、時間の節約そして本来業務に専念できることにつながります。
当事務所では・・・
一定の情報(従業員の入社・退職、昇降給、扶養など)を頂ければ、それに基づいて給与計算・賞与計算を代行致します。
労働・社会保険法令に則り、正確に迅速に計算することで、従業員からの信用向上に貢献します。
5 労務トラブル解決サポート
次のような労務トラブルが増えています。
- 残業代未払い
- 従業員が突然会社に来なくなった
- 有期契約労働者の雇い止め
- 解雇の問題
- メンタルヘルス、パワハラの問題
そのために経営者本来の仕事に専念できない・集中できないということにもなりかねません。
余計な時間・金銭や労力を要しますので、このような労務トラブルは未然に防ぐことが一番大事になります。
また、「自分の会社には関係ない!」「うちは小さい会社だから大丈夫!」と考えている経営者の方もいらっしゃいますが、従業員の権利意識の高まっている昨今では、決して他人事ではありません。インターネット等で情報を得た従業員が、退職後に様々な要求をしてくることや労働基準監督署に駆け込むことも珍しいことではありません。
当事務所では・・・
従業員との間に起きる様々な労務トラブルを適切な労務管理を行うことで未然に防ぎ、また関係法令・判例等に基づいて解決のサポートをします。
必要に応じて、他士業専門家を紹介することも可能です。
6 その他
- 役所(労働基準監督署・公共職業安定所・年金事務所)調査対策、立会
- 労働法、社会保険関係法の法改正時の情報提供